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【2024/05/21 11:33 】 |
ちょっとくらいお茶らけてくれたっていいじゃない
小説家になろうから転載します、タイトル:はじまり《いち》作者:夢宮
俺は死んでいく。半身を失って人間は生きていられない。世界から色が消えてモノクロに塗り替えられる。無機質な世界。そこに俺は沈んでいく。悔しい。どうしようもなく悔しい。別段俺が殺されたことがではない。あ、いやでもそれはやっぱちょっとある。ただ、こんな結末になってしまったのがたまらなく悔しい。俺達はどうしてこうなったのだろう。黄金の記憶を辿る。醜く歪んだ今と比べる。皆、死んだ。そして俺も死ぬ。あいつも報われない。最悪なエンディングじゃないか。三流のシナリオだ。この終わりには何もない。ふざけるな!そんなの許せるか!俺たちのシナリオを三流作家になんか任せてたまるか!俺たちはそんな安い物語になんてならない!抗いたい。この運命に。闇の底に沈められた俺達の終わりに。藻掻く。消失していく意識の中、俺は必死に泳ぐ。こんな結末は許さない。俺達は、誰も笑っていないんだ。どこで間違えた。俺は、俺達はどこで間違えたんだ。思い返せば全てが過ちで全てが正しかった気もする。やり直したい。俺たちがこうなる前の人生を。俺達が報われる人生を。もう一度、せめて救われる結末を。いや、やっぱ最高の結末がいい。望み得る限り最良を。藻掻いた。泳いで、泳いで、泳いで、その先に、モノクロの世界で、唯一の輝きを見た。モンクレール ダウン
闇の底を泳ぎながら、今にも消えそうな意識で、必死に手を伸ばして、その光を、掴んだ。気付けば真っ白な空間の中にいた。真っ白と言っても紙とか雪とかそんな白さじゃない。周りが白く輝いているのだ。こんなに光を放つ物質はこの世にない。非現実的な空間だ。なるほど、俺は理解した。ここは天国なのだろう、と。それはそうか。真っ二つにされて人間が死なない訳がない。
となると目の前にいるこの男は死神か。剣二本もってる。かっけー。卍解!とか言うのだろうか。やばい、ちょっと見てみたい。「なぁ、それって本物?」双剣を指差して聞いてみる。三秒…七秒…十秒経過。返事なし。沈黙。仕方ない、質問を変えよう。「なぁ、もしかして「今のは余の月牙天衝ではない、ただの斬撃だ」とか言ったりするの?」やっぱ返事はない。このむっつりさんめ。ちょっとくらいお茶らけてくれたっていいじゃないかそっ、もう少し真面目な質問してみよう。「なぁ、もしかして俺って死んだの?」
 前言撤回、口に出してみるとかなりふざけた質問だった。『貴様はまだ死んでいない』「まだ?」驚いた。まさか返事がもらえるとは。しかしどういうことなのか。俺はまだ死んでないらしい。ということはそのうち死ぬのか。いや、当然だな。
「ははっ、悔しいなぁ。結局、俺は何も出来なかったのか。くそ、俺は何も変えれなかったのか」
 どこかでさっきまでのことは夢で、きっと俺は今夢の中にいるのだろうと願っていた。けど、やっぱりそんなことはなくて、第三者からこうして死の宣告を伝えられると受け入れるしか出来ない。
 全身から力が抜けていく。身体がほつれていく。俺がバラバラになっていく。この空間に霧散していく。俺が消える。あぁ、やっぱり俺は何も出来ずに死ぬのか。モンクレール 通販

 崩壊していく俺の腕を死神が掴んだ。なんだよ、俺は地獄行きなのか。
『貴様は何を望む』死神は俺を真っ直ぐに見てそう言った。違う、こいつは死神なんかじゃない。わかったぞ、お前の正体が。お前は俺、お前は力、お前は理想を叶える夢の欠片。そうか、つまりは、これが“俺”の人生の最後に残ったチャンスなのだ。ならば何も迷うことはない。そう、本当にずっと望んでいたものはたった一つ。あの時からずっとただ一つだけだ。憧れ続けた。叶えれるってんなら叶えてみやがれ。何よりも高尚で何よりも幼稚な、きっと誰もが一度は願う事だ。
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【2011/11/15 11:04 】 | 小説
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